新規開業をお考えの先生へ
医療機関を取り巻く環境が大きく変わってきていますが、診療所の開業数は依然伸び続けています。また、診療報酬のマイナス改定や少子・高齢社会の進展などは、これから開業を考える方にとっても大きな影響を与えることでしょう。つまり、明確なビジョンを持って、事業計画をきちんと立てて開業することが成功の秘訣と考えます。次の3つのことが重要な点となります。
1つ目は、決意です。
先ほども申し上げた通り、開業医の現状は決して甘いものではありません。必ず成功させるという意志と、開業してどのような医療を患者さんに提供していきたいのか、という明確なビジョンを持って開業に向かうことです。
2つ目は、ご家族を始めとする周囲の方々の同意と協力が必要です。
開業は医師一人でできるものではありませんから、よく周囲の方と相談して、協力を得ながら取り組んでいくことが重要です。
最後に、信頼できるパートナーを選ぶことです。
開業には様々なプロセスと手続きがありますから、専門家のサポートが必要です。開業前だけでなく、開業後もずっと付き合っていける、人間的にも能力的にも信頼できるパートナーを選んで、二人三脚で進めていくとよいでしょう。
しかし、いくら忙しいからと言って、専門家に任せきりにするのはよくありません。開業するのは先生なのですから、ご自身でしっかりと考えて、開業に向けてのプロセスを掌握しないと、思わぬ落とし穴にはまる危険があります。よく注意してください。
クリニックの経営改善をお考えの先生へ
医療を取り巻く経営環境は大きく変化しています「経営改善」に取り組み、経営の健全化、経営体質の強化を図ることが、クリニックの存続・発展と理想の医療の実現のためには不可欠であると言えます。
経営改善のためには「会計データ」による現状分析が必要です経営改善のためには、まずクリニックの現状についての正しい分析と判断が必要です。先生も、患者さんに治療したり処方したりする前に、まずは必要な検査をしたり、患者さんから症状をよく聞いてから、診断を下すのではないでしょうか。それと同じように、クリニックの現状を把握・分析し、経営上の問題点がどこにあるのか、なぜそのような問題が生じているのかを判断することから始めましょう。 この現状分析のためには、決算書を始めとする会計データの活用が有効です。決算書及び会計データは、単に税務署に提出するためだけに作成されているものではなく、一見難しそうに見えるクリニックの経営実態を、数字によって極めて明快に映し出そうとする鏡のようなものです。
2つの視点-「時系列分析」と「相対比較分析」会計データの分析といっても、特に難しいことを行うわけではありません。決算書を構成要素別に分解した上で、次の2つの視点から眺めてみましょう。(1)前年と比べて増えたのか減ったのか?(時系列分析)(2)同一診療科同規模の診療所と比較して多いのか少ないのか?(相対比較分析) ところで、同一診療科同規模の診療所との比較といっても、どこか特定のクリニックの会計データと比較するというわけではありません。TKCでは、毎年多数の医療機関の財務データを分析し、『TKC医業経営指標(M-BAST)』という統計資料をまとめていますので、先生のクリニックと同じ診療科、同じ規模の診療所の全国平均値と比較できます。